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高周波治療器 パナコラン
世界初新発売 平成元年(1989年) |
●「パナコラン」・・・ああ昔、細川隆一郎さんが「パナコランは肩コラン」とテレビCMでやっていたあれでしょう?そうです、
肩こり、腰痛に効くと有名になった貼り付け型の高周波治療器です。「そう言えば最近宣伝を見ないよね」
確かにその通りですが発売はされています。ご存知無い方のために解説すると右の丸い500円玉みたいな本体の中に電池や回路、
アンテナが入っていて、単三乾電池が入った写真の充電器に収納しておくと充電され、
取り出すと微弱な9メガヘルツの高周波を小刻みに発信します。
これを肩や腰など痛む部分専用の両面テープで貼っておくと自然に痛みが和らぐ、
という世界に類の無い電子治療器です。勿論これは薬事法の認可を受けた家庭用治療器で効能効果も立証されています。
世界で初めてこの製品を発明した松下電工健康科学研究所グループの悪戦苦闘の歴史を紹介し、
この製品が人助けになり人々に喜ばれることを心から祈っています。 |
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(第4巻第1号) |
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●平成元年(1989)発売(その1)
●テーマが陽の目を見た日
商品企画部長としてヒット商品をぶっ放しては業績を伸ばすという、この上なく面白い仕事を追われて、研究所長という地味な仕事を預かって1年もしない内に、全社の中で最も重症の赤字事業に苦しむ健康機器事業部の事業部長として事業を再建せよという社命を頂いた。
今でもそうだが松下は赤字事業は罪悪であるという厳しい企業文化を伝統としている。トップ責任者は2年減益を続けただけで転籍になった。当然赤字は即止血しなければならない。
こういう時は先ず不採算商品の選択と集中により、売上、収益の足を引っ張っているものを整理し、人件費を利益が戻るまでカットする、と言っても組合や他の部門との釣り合い上給料を下げるわけには行かない。
当然、配置転換で人を減らすしかない。ということで事業部は主力商品の立て直しに集中し、徹底的な合理化と商品力の強化革新を図った。
そうこうする内に何とか販売も上向き加減になり、採算も黒字化する見通しとなったが
、およそ商売はタマが無ければ大きく業績を伸ばすこともできず、従業員も夢を持って頑張るという楽しみがない。
要するに単に再建と言っても赤字を止めるだけでは面白くないから社員の士気にもかかわる。
これを救うにはシェアーを伸ばすというやり方もある。 だが僕はそれよりも家庭用健康治療機器市場そのものの社会的支持の拡大、
即ち需要そのものの拡大がそれにもまして重要と考えた。 それには新薬に相当する新しい治療器の開発が一番だ。
そこで先ず電器開発研究所のテーマの中で何か良いものはないか調べた。 すると、肩こりや腰痛、筋肉痛などに効果のありそうな面白い研究をやっているという。
これは9メガヘルツの微弱な高周波(電磁波)を身体の痛む部分に当てている
と局所の痛みが和らぐというものであった。研究所には北川文夫君というメディカル・
エレクトロ二クス専門の異色の技術者が居た。 聞けば欧州で専門医療技術の一つとして手術後の早期回復等に利用されている
高周波治療からヒントを得て家庭用として安全、簡便、安価な治療器として独自に考案したものだという。
じゃあサンプルを見せろと言ったら、丸い円盤状のもが出てきたが、 音もしなければ、熱くも冷たくもない。振動も何もない。
これで動いているのかというと動いているという。これが本当に効くのか?と尋ねたら、
データにはまとめてないが良さそうだという。 しかし、何でも疑い深い僕は最初、効く人も居れば効かない人も居るという結構、
扱いの難しいものだという感じがして放っておいたのである。
僕は、当時、休みには家の近くにあるコートで時々友人とテニスをして遊んでいた。
全く文字通りの遊びテニスである。それがテニス倶楽部でコーチなどしているセミプロの社員が教えてくれるというので、ラリーを何本か交わした。向うはこちらのレベルに合わせて軽く打って来てくれるのだが、結構手許で伸びてくる。その日はそれで楽しんだが、あとがいけない。
翌日から鞄を持つことも出来ないくらい肘に痛みが走り、力が入らなくなった。
所謂テニスエルボである。一週間くらいで直るだろうとほっておいたら、 少しはましにはなったが、利き腕が使えず不自由で仕方がない。そこで例の試作品を思い出し、僕にも試させろと研究所に行き試験的に装着させてもらった。
するとどうだろう、2日間でケロッと痛みもなくなり、腕が使えるようになったではないか。
これには正直驚いた。それで翌週の休日にもう一度テニスを楽しんだのだが、やはり直りきっていなかったのか、また同じところが痛みだし、再び鞄も持てなくなった。
そこで、預かったままの試作品を取りだし、もう一度装着してみた。 すると今度は全く効果が現れない。やはり、第1回の時はもう直りかけのタイミングではなかったのか、
そう思って、研究所に文句を言いに言った。「これやっぱり効かへんやないか」
そう言ったとたん試作を担当した和田澄夫君がそれを手に取り、 「電池が切れてますわ」と指摘し、新しい電池と交換してくれた。
試作品は電池切れで動作していなかったのだ。装着して今度は半日でケロッと痛みが無くなった。これは効く、と僕がこの発明に確信を抱いたのはこの時である。

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