果てしなき需要創造へのチャレンジの軌跡
僕達のもう一つのプロジェクト”X”
(第4巻第4号) 
●平成元年(1989)発売(その4)
パナコランは何故痛みの緩解に効くのかー安全無害なのか。
 基本原理を極める

厚生省や薬事審議会が認可に慎重になったには別の理由もあった。彼等は新しい問題が提起されると学界の権威者や専門医に情報を求める。ところがこのパナコランなる高周波治療器は純粋に民間の一研究所で発明されたものであり、学者は未着手の分野なので、的確な答えを求めるのは無理なのである。当時、医療機器の最高権威者であった東京女子医大桜井晴久教授は当時中央薬事審議会の委員であり、勿論中立の立場にある。人工臓器の研究で当時、最高権威者であった東大の渥美和彦教授などにも随分お世話になったが、先生のご研究成果をもってしてもその作用機序について明確な説明が得られるはずがない。そんな事情やしかも医学界で認められていないものをいきなり家庭用として医師の診断なしに治療に使おうというものだから、余計に慎重になったとしても何らおかしくはなかったのである。

一般常識からすると、薬なら先ず医者向けに発売し、その状況を踏まえて市販するというのが順序というものである。しかし、医者向けにこの器具を発売したとして果たして何人の医者がこれを患者に用いるだろうか。残念ながら医学の進歩は日進月歩であり、医師の全てに最先端の知識や技術を期待するのには無理というもの。もう一つはたとえ、基本的に効能効果が認められたとしても、医学的に適用するとなると、どんな症状に対してどのような適用が可能なのか、治療効果はどうなるのか、それを担保する多くの症例を得るにも多くの時間が必要となる。

理学療法の長所は薬の場合と異なり、治療が良好な状況下にあってはこれを観察下に置きながら放置し、悪い影響を生じる場合は、そこで治療を中止すれば安全は確保できるので、100%の治療効果を求めるのは無理としても、人体に悪い影響を残すおそれは少ない。パナコランのように緩やかな刺激で治療を進める場合は特にその安全性は高い。

幸い発明者の北川文夫君が会員として参加していたメディカル・エレクトロニクス学会の重鎮で生理学の権威である群馬大学の三浦光彦教授から微弱高周波により血流が改善される動物実験を引き受けても良いと返事があり、われわれは所員を研究生に送りこみ動物実験を開始した。実験は血流の変化を容易に観察できる”アフリカつめ蛙”を用いて行われ、血流回復の試験で見事高周波照射による改善の観察に成功した。また国立公衆衛生院では大久保千代次博士らによりウサギの耳介皮膚を用いて微小循環に高周波パルス電磁界が血流促進に影響を与えることが実証された。これらには大変な費用と時間が掛かったが、これらの挙動を実際に確認できたことは「健康づくりを科学する」「真に学問的裏付けのある機器しか販売しない」を標榜するわれわれ事業者に大きな自信を植え付けた。

こうした臨床研究の成功は勿論、薬事審議会にも報告したが、彼らはそのような変化は何故起こるのか、更に解明を求め許可は棚上げされたままだった。われわれは筑波大学の西條一止教授をはじめ徳島大学、大阪大学、京都大学、九州大学、北海道大学、兵庫県立東洋医学研究所、国立公衆衛生院、厚生会第一病院、日本大学などさまざまな専門機関の協力を仰ぎ、細胞レベル、分子レベルでの研究解明と取り組んだが遂にその挙動までは明らかにならなかった。 

しかし最後の執念で追及した高周波の患部への浸透については当時東大教授であった斎藤正男氏と東京都立大学の多気昌生助教授のご指導により、遂にその理論式が明らかとなった。その研究成果は世界的に有名な科学誌であるNatureに発表されるところとなり、遂に薬事審議会及び厚生省も4年間に及ぶ立証研究の成果を認め、この製品の発売にGoサインを出したのである。

この間に併行して進めた安全性の実証も大変な日数と社内外の精力的な取り組みにより、無事確認証明されたが、この内容については別の機会に詳細を報告したい。

最後に厚生省より認可が下りる知らせが入った日、藤井会長の部屋に報告に行ったら、先生曰く「君、まだ(その研究)やっとんたんか」と・・・・しかしその声にはかってのとげとげしさは最早消えていた。

次号に続く
Consulting & Produce
BELL CREATIONS
since2001
Bell Creations all right reserved