果てしなき需要創造へのチャレンジの軌跡
僕達のもう一つのプロジェクト”X”
室内空気清浄器 エアーリフレ

国内初発売 昭和58年(1983年)
生活快適分野への新展開
所謂換気扇ではないが、たばこの煙など室内の汚れた空気を室内でさまざまなフィルターを用いて清浄にする商品である。近頃の住宅は高層マンションなども増え、また道路や工場近くの民家では新鮮な外気を取り入れようにも空気自体が汚れていて、窓も開けられないなどの環境や意識の変化で必需品となった製品である。
 この商品も国内ではNational 松下電工が最初に開発し市場を新しく作り上げたものなのである
昨今では優れた消臭効果を発揮するプラズマ技術や、人に良い影響を与えてくれるマイナスイオン発生機構が開発され、デザインもインテリア性を重視するなどますます激しい製品開発競争が繰り広げられている。小生達がこの製品を最初に開発して以来、早や20年になろうとしているが多くの家庭でこの製品が要らなくなる日はいつ来るのかますます必要性が高まるが喜んでいいものやら
(第5巻第1号) 
昭和58年(1983)発売(その1)
生活快適分野への新展開
 電気カミソリとヘアードライヤー、商品と云えばこの二つしか無かった時代、言わば理美容器具という単品事業から、バイブレ―ター、マッサージ椅子、血圧計等、健康器具群の品揃えで「美容と健康」という「二本足」で歩き始めた頃の松下電工の家電事業。パーソナルケア、即ち美容健康器具を扱う当時の電器事業部から健康機器事業部が独立し、それぞれ事業部には新進気鋭の新任事業部長が就任した。
 こうした組織拡大は単にそのこと自体を目的としたのではなくて、事業そのものが右肩上がりの成長曲線にのって順風満帆の勢いで伸び、それに伴ってさらに各々の事業をしっかり伸ばそうという意図のもとに編成したわけで、歴史的に見てごく当然の成り行きであり、我々の意図もそこにあった。
 新たな事業を立ち上げる、この場合健康機器事業なのだが、数年間は多くの精力がそこに注がれるのだが、その中心にあって企画部長としてプロデューサー的役割を果たしてきた小生自身は新設事業部のトップに抜擢されることもなく(年功序列人事要件を満たさず)、所属事業部においては新任部長の意向もあって、文字通り窓際で新たな役割を模索する毎日を過ごすことになった。

 当時は”サラリーマンは気楽な稼業と来たもんだ”等と植木等の流行歌に唄われるようなサラリーマン気質がまだ残っていたが、重い任務から解き放たれた小生自身ももう少し普遍的な性格の持ち主であれば、ゴルフや好きな趣味の一つや二つ存分に楽しんだのだろうが、この時の目標喪失から来たショックの大きさは今もって忘れることができない。
後に急性胃潰瘍を患い、緊急入院をした際にあなたは胃潰瘍を患ったことがあると医者から指摘されたが、恐らくそれはこの時のショックにより胃壁に潰瘍を生じた跡が残ったものと思われる。

しかし、こんなことでめげていても仕方がない。ここはここで勝ち得た自由を最大限に生かして新たな社業発展の萌芽をものにすること、及び自分自身に新たなスキルやノウハウを蓄積することにチャレンジしようと、新たな活動を起こすことを心に決めたのである。

 それは以前から構想を温めていた美容、健康に続く新しい分野の開発、即ち生活快適事業の取り組みへの着手であった。ただ、この「快適分野」事業を次のターゲットとする着想は正直に云うと僕自身のオリジナルではない。既にそのような着想は米国のHouseware業界紙、Home Furnishing Daily 紙によってPersonalcareに含まれるコンセプトとしてBeauty、Healthに続く柱としてConditioningを挙げたことにより僕も日本においても、この市場に光があたる時代が近いことを感じていた。そして着手すべきタイミングをその数年前から覗っていたわけである。
 
 あるとき、当時外国製品をいち早く輸入販売していた東京、秋葉原のヤマギワ本店にPhilips社製の卓上空気清浄器が展示販売された。それは筒形をした小さな器具本体の底面から空気を吸い込み上部にそれを排出する形のもので、実用性には疑問の多いしろものであったが、タバコの煙を吸収するというふれこみに関心を示すお客も多く、これは行けると直感したのであった。

 当時、事業部門を担当していた宗政武郎氏(当時、常務)からも、タバコの煙害を無くすることのできる室内型空気清浄器を開発しないかとの指示もあり、小生は少し以前から新幹線の一号車、二号車に禁煙車が連結されるようになったことも踏まえて、ニーズの顕在化の近いことに確信を抱き、新らたな製品を開発すべく企画調査に着手した.

次号に続く
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