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●家庭健康管理分野への新展開
〜全自動血圧計を開発 |
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全自動血圧計開発物語 |
(第6巻第1号) |
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世界初発売 昭和54年(1979年11月21日) |
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ここに何かの雑誌に掲載された一つの隋談がある。聖路加国際病院名誉院長の日野原
重明(ひのはら しげあき、1911年10月4日 - )氏がまだ聖路加看護大学学長であったころに書かれた家庭での血圧計測の必要性を説かれたものです。
血圧の計測は中高年の諸子には経験があると思いますが、昔から看護婦さんが、患者の上腕をカフ帯で阻血し、圧力計をこれにつないで、聴音器を直下の血管に当て、徐々に阻血カフを緩め、血流の流れ始める時に発生するコロトコフ音と呼ぶ音を聴き、圧力計の値を見て最高血圧、最低血圧を判定していました。
この方法はそもそも最高血圧、最低血圧などという医者が患者の状態をこうして判断するというように決めたものですから、原理的には良い悪いは言えないのですが、看護婦や医師でも専門的な訓練が必要ですし、家庭で間単に誰でもガ自分ではかるというわけにはいきません。
ただ、循環器系の疾病が進行していないかを判断するには非常に重要な測定なので、病院でこの計測を行わないことは殆どありません。また中高年に多い成人病の予防にもこの血圧の管理が特に重要であることは古くから誰もが認めていたわけです。ところが、誰でも簡単に正確にこれを測る方法がなかったため、いちいちこれを計るために病院に行かなくてはならないという問題があったのです。
しかももう一つ困った問題は、わが国では薬事法という法律で医療機器の製造販売が国によって管理され、血圧計は病院で専門家が用いる医療機器に分類され、一般家庭への普及は国によって禁止されていたのです。
筆者はこうしたさまざまな矛盾や開発の遅れに気づき、松下電工の健康予防管理機器の主力商品として、家庭用血圧計の企画開発を起こすことを思いつき、技術開発を担当した山村幸男君等とともに、日本で、いや家庭用としてはおそらく世界で初めて、この製品開発を進めました。
その後、この商品開発は後述の通り、全自動血圧計EW211として結実することになるのですが、問題は薬事法という国が定めた法律がある限り、この製品は病院など以外には、販売できないことになってしまいます。しかも法律のみでなく、多くの病院の医師たちや看護婦は新しく開発された機器の性能には理解が無く、いろいろな理由をつけて一般の生活者が家庭で血圧を計ることにはアンチな態度で抵抗していました。
それらを打ち破る画期的な先見性に満ちた見解が日野原先生によって発表されたわけです。
筆者は勿論、日野原先生と面識もありませんでした。しかし、開発に成功したのち、東京の聖路加病院にこれを携えて先生を訪ね、我々の意図を説明し、ご理解を得て、先生が理事長をしておられるライフプランニングセンターを通じて、この製品の普及にご協力、ご支援をいただくことになりました。
薬事法を管轄する厚生省との協議にも、直接、間接に日野原先生のご支援、ご助力があったものと推察しておりますが、今日ではそうした歴史が、遥か遠い過去の問題としてしか存在しなくなるという時代を迎えて、感無量なものを感じますとともに、先生がいらっしゃらなければ、今日、世界をリードする日本の血圧計産業の存在は、全く別の道をたどっていたに違いありません。
本当に世の中の人のためになることを専門的立場から支えていただいたこの一文を振り返るとき、開発は開発者だけで成功するものではないことを強く感じています
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