 |
手首式血圧計開発物語 |
(第7巻第1号) |
|
血圧計は元来、上腕下部に腕帯を巻いて測るものと決められていた。ところが冬期には厚着する人も多く、上着を脱ぐ、長袖シャツを捲り上げても腕を圧迫してしまうなど、特に家庭における測定には不便も多かった。上腕で測定する血圧計のユーザーからこうした問題を指摘され、手首では測れないのかと疑問を持ったのが取締役事業本部長であったAK氏だった。AK氏はこういうことは出来ないか一度検討せよ、と事業部担当者に直接、出張先であるニューヨークから電話をして来られた。
担当者は当時、事業部長だった私に、一応どのように対処したら良いか相談してきた。他にも上腕タイプの次期新商品を開発中であり、このテーマをどのように扱ったら良いか、判断する必要があったためである。私は上腕タイプの血圧計も既にマイクロフォンによってコロトコフ音をセンシングして判定する方式から、脈波をセンシングでしてマイコンプログラムで判定するオシロメトリック方式が採用されつつあり、これを応用すれば技術的に不可能とはいえないこと等を考慮し、テーマとして急遽、世界初完成を目指して、このテーマと取り組もうと決心したが、上腕と手首では全く、測定プログラムも変えなくてはならないし、カフ帯の設計も一から設計開発しなければならない。そこで、本テーマを商品部の設計部隊のみで開発することは困難と考え、開発研究所のメディカル商品開発チームに、本テーマを新しく起こすよう指示を出した
|
|
 |
|
世界初・第1号手首式血圧計EW270のパッケージ意匠
|
|
開発研究所には生体工学の第一人者FK主査がおり、彼の意見では手首には上腕と違って、2本の動脈が走っており、(上腕は1本)これを同時に阻血できる圧迫帯を新しく開発しなければならない。また上腕測定に代わるものとして、精度の確保も重要であり、不確実要素もあるが、やってみましょう。と開発を引き受けてくれた。技術開発担当にはチャレンジ精神旺盛なHT君を抜擢し、彼等にテーマをゆだねることとした。
|
|
 |
|
世界初・第1号手首式血圧計EW270
市場には全く初めての血圧計であり、使用法を正しく普及しなければならないため
全商品に使い方を解説したVTRを添付していた。
|
|
 カフ本体一体型手首式血圧計の開発と海外市場向け商品の展開 |
|
|